この本はほとんどが登場人物の会話文だけで物語が書かれており、情景の説明とか心理描写だとかはほとんどなく、台本といったところ。 よって映画を観た方がこの本を見て、映画以上のことを知ることはできないが、逆に説明過多になって映画の感動を損なうことはない。 特筆すべきは各ミュージカル・シーンの歌詞の原語と邦訳を収録しているところ。あの感動的なI've Seen It Allはもちろん、Next to last songまでも収録。
映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はまだ観ていません。ビョークは『デビュー』『ホモジェニック』を聴きました。ソウルフルな歌い方が私にはヘビー過ぎて苦手なのであまり好きになれませんが、「良い/悪い」で評価すると超一流の表現者だと認めざるを得ません。曲はいつものビョーク節全開です。映画もいつか観たいと思います。
号泣した。
思い切り泣いたら普通すっきりするもんだけど、この映画は違った。
この映画で流した涙は人の心に巣食う恐ろしくて汚い部分をこれでもかとみせつけられ、精神を乱された涙だった。
「人間の持つ愛の力、それをねじふせる人間の残酷さ」
どちらも突きつけられて、本当に心が震えるという感覚だった。
「神様なんていないんだ。これが現実なんだ」
そんな絶望感を突きつけられたような気持ち。
好きな映画ではないけれど、こんな気持ちになった映画は初めてで衝撃的。
ビョークという媒体を借りて、こんな映画を作るなんてラース・
フォントリアーと言う人は良い意味でも悪い意味でも恐ろしい監督だ。
この『セルマソングス』はビョークが主役を務めた映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のサウンドトラックでありながら、そう感じさせず、サウンドトラックにしては非常に濃い、むしろビョークの‘アルバム’と言った方がふさわしいであろう。また、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は彼女が幼いころに好んで観賞していた「サウンド・オブ・ミュージック」や彼女のセカンドアルバム『ポスト』の中の1曲「イッツ・オー・ソー・クワイエット」のプロモーションビデオから掻き立てられ彼女の中に芽生えた“いつか自分がミュージカルを演じたい”という長年の願望をかなえてくれた映画である分、彼女のこの一枚のCDにこめる気持ちは非常に大きいであろう。