インドの伝統的染色芸術であるカラムカリという手法で描かれた、めずらしい絵本。
巻末にはカラムカリの手順が丁寧に解説されています。
牛糞、木の実、牛乳、木炭、鉄さび、黒砂糖、植物からとった天然染料、などを
使い、いくつもの工程を経て出来上がるもので、古来より珍重されてきたとのこと。
インドのカラクシュトラ芸術学院では、専攻コースまであるようです。
さて、話しのほうですが、もとになっているのは
インドネシアの民話。
なんとなく日本の猿蟹合戦を彷彿させるものがありますね。
猿とまめじかが登場するのですが、猿はずるいヤツとして描かれています。
果物を独り占めしようとする猿に対して、まめじかがとった作戦がみもの。
ペン画による装飾的な絵とナチュラルな色味が、民話の世界を
みごとに表現しています。
一部の画面は合成しているので、原画100%でないのが残念ですが、
ぜひとも現物を見たいものです。
インドネシアの昔話絵本
体重2キロほど、ひづめのある動物の中では一番小さいという
「まめじか」の存在を初めて知りました。
インドネシアではとても人気のある昔話の主人公であることも。
「まめじか」・カンチルが知恵と勇気を絞って、
ワニやトラをやり込めていく4つのお話が入っています。
本文40ページ、ほとんどのページにカラーのイラストが入っていて、
読み手の助けになります。
まめじかの知恵に気持ちが上手く乗れず、
そこが異文化なのだろうと思いつつ。