長谷川和彦脚本、久世光彦プロデュースのTVスタジオ・ドラマの金字塔。「三億円事件」を題材に、青年(犯人)の生の充溢と不安そして狂気と死の恍惚を描く。
放映当時中学生であった私は、沢田研二と女優陣のからみのシーンばかりに目がいき、単なるエロ・ドラマとしてしかこれを堪能していなかったが、今はその不明を恥じたい。全編に周到に張り巡らされた伏線が、最後に「そして誰もいなくなる」悲劇の結末になだれ込むプロットは圧巻。また、伊東四朗や細川俊之の怪演も見もの。
それにしても、篠ヒロコ(ひろ子)のこの初々しさと美しさはどうだ。今観て、正に眼福。(数十年前に観た時には、余り印象に残らなかったのに。)主人公に身を捧げ尽くすその姿は、男性にとっての理想の女性像の一つの極北。(なお、那智わたると安田(大楠)道代の淫靡さは、それぞれ後年発見したジェニファー・ウェルズと
風間ゆみのそれと同質だが、それには劣ろう。)
それにしても、ネット・
オークションで大枚をはたいて購入した甲斐あり。未見の方は是非観てほしい。
廃盤になって
オークション等で高値で取引されている「Fork Songs」が一応全曲収録されています。ただし,「笑顔が好きだから」はシングルバージョンが収録されているので,やはり完璧に揃わないのが大変残念です。