現在はプロの活動をやめて小樽の病院でボランティアとして活動するかたわら、その病院でロビーコンサートなるものも行っているという井上堯之さんの記念すべき1stソロアルバム。
76年の発売だからもう33年も前の音楽なのだが、このアルバムには古いとか新しいといった言葉は必要ない、普遍的なものを感じます。
発売から33年(LPからCDに買い換えたが)未だにときおり棚から取り出して、CDプレイヤーのトレイにのせる数少ないCDの一つだ。全9曲捨て曲が一つもない。
TV「傷だらけの天使」の最終回でも使われた名曲「一人」、子供のことを優しい目で見守り、好きなように生きろと諭すような「息子」、沢田研二のことを歌った「Just A Man」、どこか日本人的で物悲しさを感じさせるちょっと異色な「厭世歌」、井上堯之版「イマジン」とも言える大名曲「Dreamer」(実はショーケンこと萩原健一がワンフレーズだけ’I am a dreamer〜’と歌っている所があります!)。泣きのギターをたっぷり堪能できるインスト「グッドバイ・ログ・キャビン」。
是非若い人にも聞いてもらいたい「誠実な日本のロックの名盤」です。
著者のお名前は、いつの頃からかギター小僧の教祖的な衣を纏うようになっていました。
井上堯之バンドの活躍が大きかったのではないかと思います。
名ギタリストというのは常にカリスマ性がつきまとう感じもしますが、著者はそのお一人ではないかと常々感じています。風貌と言い。
デビューしたときは、意外、と言っては失礼ですが、三人組のボーカルグループから出発したというのはびっくりしました。
そこからスパイダースに参加。まだまだギターの腕前はそれほどでもなく、マチャアキにネタにされていたこともあったとか。
それが、スパイダース時代に、オーケストラのスコアが書けるまで音楽の知識を吸収されているんですね。
凄いです。
実はスパイダース時代の著者はあまり印象に残ってないんです。何しろ、マチャアキ、順ちゃん、ムッシュが目立ってましたから。
そのスパイダースの履歴も面白いものでした。当時の日本の音楽シーンが感じられます。
著者のギタリストとしての名声は、PYGからという印象なんです。
著者の非常にストイックで
スピリチュアルなもの、音楽の”道”を追求してゆく姿は、欧米のロック・ミュージシャンと異なる東洋的なミュージシャンのような印象を持ちました。
スパイダースの面々、ショーケン、音楽を担当した映画の監督達のコメントが付されていて、著者の人となりが忍ばれる本でした。
井上堯之さんのソロアルバム『Water Mind』から味のある歌声に魅了されています。なかなか、ショップでは見つけられず、やっと手に入れる事ができました。「蛍の光」に3、4番(歌詞に賛否はあると思いますが)があることも知りました。