CS&Nデビューアルバムの最新リマスター盤。Rhino編集によるHDCD仕様。前回(1994年)のリマスター盤ですでに満足できる水準だったので、最大の目玉は4曲の
ボーナストラックだ。順に解説すると、
ボーナス1曲目(#11)は、のちにStillsのファーストソロに収録された曲で、ソロではすべてを1人でやっているが、ここではCSNのハーモニーになっている。こっちの黄金のハーモニーのほうが個人的にはずっと好み。2曲目(#12)は、のちにCrosbyのファーストソロに収録された曲だが、ソロのバージョンよりかなりキーが低い。ソロのバージョンのほうが完成度は上だと思う。3曲目(#13)はニルソンの歌で有名なFred Neil作『うわさの男』のテーマで、S-C-Nの順で声が重なる妙味は何とも...それでも、当時のオリジナルアルバムに他人の曲が入る余地はなかっただろうから、いかにも
ボーナストラック向き。
ボーナスの最後(#14)は、Youngの加わった次作Deja vuのハイライトの1つ、Nash作のTeach Your Children(尤もDeja vuのこの曲の録音にもNeilは不参加だが)の2番目のデモで、Crosbyとのデュオ。一番興味深いのがこの
ボーナス。ビートルズのアンソロジーに通ずる感動がある。
94年リマスター盤を持っていても、熱狂的なファンには決して外せない一品だ。
1点減点なのは、オリジナルからの改変のため。まず、#10の直前に入っていたCrosbyの鼻歌がカットされている。もう1つはブックレットの裏表紙。ドアのところに不気味に写るドラマーDallas Taylorの姿が消されていること。D.Taylorの自伝"Prisoner of Woodstock"でこの写真が使われているため?いずれにしても「改変」は気持ちのいいものではない。
2006年のCSNYツァーのサントラ盤。映画のDVD日本盤が待ち遠しいが、DVDとの収録曲の数等の異同は不明。しかし、映画「ラスト・ネヴァー・スリープス」とサントラ盤「ライヴ・ラスト」の関係のように、本CDだけでも充分CSN&Y、特にYのエネルギーが伝わってくる痛快な作品だ。何しろ、M2、M16を含めて収録曲の約半分がニールのアルバム「リヴィング・ウィズ・ウォー」の曲で、バック・バンドも同アルバム制作時のメンバーを起用している。このアルバムの音の疾走感、自国が戦争中なのに反戦を訴えない若手に手本を示すかのようなメッセージ性、社会と切り結ぼうとする強いニールの意志に共感を覚える人なら、本作も気に入るだろう。荒々しさに分厚いコーラスが加わり、「リヴィング・〜」の曲はどれも素晴らしい演奏だ。CSN(Y)の曲もそれに引っ張られて力強い。M1は聴衆との合唱だけ。原曲より約3分長くなったM6やM9はエレキ・ギターを多用してロック色が強く、M14もアレンジが少しアーシー。一番懐かしさを感じるM15では今の時代を背景にして歌詞に新たな意味づけを意図しているかのようだ。
本作は「4ウェイ・ストリート」のロック部分が大半を占める作品だと考えるとイメージしやすいだろう。「リヴィング・〜」の主要曲の合間にCSN(Y)の名曲を嵌め込んだ、全体で1つの壮大な「リヴィング・ウィズ・ウォー」組曲と捉えるべき21世紀の作品だ。そして静かなピアノにシンセ等がかぶさるスタジオ録音のM2、M16が作品全体を引き締めている。
「リヴィング・〜」の曲が中心でありながら、ニールのエレキ路線の佳曲「フラッグス・オブ・フリーダム」が収められていないのが残念。それにしても、06年の時点で歌詞にオバマ氏を登場させたニールの予言者ぶり(M10)には改めて驚く。
まるで某BS番組のSong To Soulを見ているような構成で、毎度おなじみジョニーローガンとバーニーホスキンスへのインタビューを中心に、
クリーム、ディラン、ザ・バンド、ホリーズ、バーズ、バッファロー、ローレルキャニオン関係等々の(短い)動画をはさみ込んだ、
タイトルどおりの歴史のお勉強作品です。
写真、動画は
ウッドストックやビッグサー、シェーキーピクチャー関係で既出の物で
「お!」っと思えたのはダラス・テイラー、カルビン・サミュエルズ・スミス、グレッグ・リーブスの近影が見られた事ぐらいでした。
申し訳ないけど、見終わった後の感想は「これを売るの?」でしたが、
やはりCSN&Yフアンとしては、持ってないと不安かな?