アニメの人気が出れば出演声優が歌うのはもう常識。
キャプテン翼はもとより、このアニメでもこの”デビューアルバム”なる企画物が実現。もちろん、歌唱力は度外視(笑)何たって、担当キャラクター羽柴当麻の設定がそもそも”音痴”しかも自分自身も・・・な竹村拓さんまで歌っているのだもの。あとは佐々木望「
新宿サンセット」、草尾毅「炎のソルジャー」など、そこそこ歌えている(この2人は後に一応シングルCDで歌手デビューもしている)。で、全体のできが「そこそこ」なのである。うまい人間が揃っているわけでもなくお笑いに走ることもなく、どうも真面目にまとまりすぎてしまった。
唯一のお遊びといえるのが「ミッドナイト・パーティ」。これは、歌のバックでキャラクターがつぶやいているセリフを聴き取る楽しみがある。
新旧OPテーマも入っていることだし、記念CDとして楽しみましょう。まだなじんでないというか照れが見えるということで4つ星。
第二アルバム「ベスト・フレンズ」の方が、声優企画物としてずっと面白いです。こっちの方は、掛け値なしで、持っていてもソンはないと思いますよ。
アメリカ編は、アナザーストーリーとして、とても良質です。
平成元年の作品であることが、作中で判る、という硬貨の刻印みたいな「おまけ」もあります(苦笑)。
特に印象に残っていたのは、征士が拉致られて洗脳されるシーンでの、心象風景。閉鎖的な悪夢の映像なのに、やけに美しかったですね。
後は、NYポリスの反応は、東京の警察より半端じゃない、という対比ですかね。相手が、不審であれば、トルーパーであろうと容赦なしの、制圧をしてきます。ここら辺は、本編の初回と見比べて観る価値が充分あり、です。
アフリカ編では、トルーパーたちの、人間としての成長が、皮肉にも「衝突」という形で描かれていて、あまりの痛々しさに、純少年じゃないですが、「やめてよう」と叫んでしまいそうです。
後に、池田監督がガンダムWで、提示されるテーマの片鱗も、このアフリカ編で垣間見えます。
作画も、村瀬氏と塩山氏が2話ずつ担当され、クオリティは、今も色あせませんし、この作品が、オリジナル・ビデオ・アニメを商業ベースに乗せた功績は、もっと評価されていいと考えます。
最後のメッセージ・シリーズは、実に情緒的で、物語として追うには辛いというか、ほとんど、旧作シーンをつなぎ、それを「和歌」として、ナレーションによる「解釈」が展開しますので、新作映像の少なさも加味し、正直、お薦め度は高くありません。
エンディング曲は、最高にお薦めなだけに、この「実験作」で〆、とするには、残念です。
別な意味で、後のガンダムSEEDディスティニーの、物語を度々寸断した「相次ぐ総集編」の挿入の、雛形にもなったのかも知れません。同人誌的なテイスト、あり、です。
ともあれ、登場人物たちが年齢を重ねて、環境を変えていくことを、普通にやる、というのが、とても、サンライズ作品らしく、かつての「
宇宙戦艦ヤマト」シリーズに対する「
機動戦士ガンダム」シリーズのポジションを、「
聖闘士星矢」に対して「
鎧伝サムライトルーパー」も同じく「やる」という差別化が、洋風、和風というテイスト以上に、リアル感を、多少なりとも追求したということで、個人的ですが、好感が持てました。