副題が「すぐに使える日常表現2900」となっていて、CD3枚がついて本体価格2900円。意図したかどうか分からないが1表現1円という計算になる。内容も、シチュエーションに合わせて、あいさつから日本の文化まで20に分類して日本語と
スペイン語の対訳が並んでいる。一言でいうと盛り沢山だ。
ただ、これが本当にお得かというと少し吟味が必要である。本書を読んでいると、対象としている読者は誰なのかが分からない。使う側からすれば、自分がどのようなレベルだったら(あるいはどのような必要があって
スペイン語を勉強するのか)、この本を使って役に立つのかが分からない。文章例を見ると、「こんにちは」「おはようございます」「さようなら」といった簡単なあいさつから、「骨盤不整合なので、帝王切開します。」といった文章まで、難度や使われる状況がさまざまなものがあり、読んでいて目が眩む感じだ。
スペイン語の発音がカタカナで書かれていることも、誰のためか分からない。
スペイン語のつづりと発音の関係は割合分かりやすい方なので、本当の初心者や旅行での片言会話以外にカタカナの発音表記の必要性はあまりないし、長い文章はカタカナの発音を読んでも理解してもらうことは難しいだろう。本書に出てくるあいさつ以上の文章が分かる人だったらカタカナ表記は煩わしいだけである。
CDでは
スペイン人と
ペルー人が吹き込みをしていて、
スペイン語発音の地域的な差異についても一定の考慮がされていることは好感がもてる。読み方も自然で、感情が入っているのも良い。
全体に欲張りすぎていて、使いにくいのが難点。一方で、一つの日本語の文に一つの
スペイン語の文(訳は概ね適切で自然である)という構成で統一されてしまっているので、柔軟に応用や発展を考えることも難しい。中級者以上だったら、難度の高い文章の吹き込みを集めてリピーティングやシャドーイングに使うといったこともできるだろうが、そういう文章は固まって配置されていないので手間も大変だと思う。良い材料は揃っていて量もたくさん出るが、料理がうまくできていないレストランに行ったような気分になる。
独特の東洋のメロディーに、林明日香さんの歌声がぴったりと合っていて、
思わず聴き惚れてしまいます。
今、
英語の混ざったありがちな曲のリリースが多い中、
(大げさに言えば、)日本語の美しさ、日本のリズムの綺麗さが再確認出来るのではないかと。
とにかく聴いていてとても気持ちがいいし、惹き込まれるものが有ります。
実力派だと思います。
一押しは、諫山実生が(ワルツなのに)スウィングしている「月のワルツ」。それにぴったりなのが、いしづかあつこの描く、『不思議の国の
アリス』を思わせる、美しくも妖しいアニメ。歴代「みんなのうた」中の傑作といっていい。また、「悠久の杜」を歌うKOKIAの‘強い’声が素晴しい。聞かせる。ラスト近くのピチカート・ファイヴ「メッセージ・ソング」は、初め彼らが演ずるにしては凡庸な歌と即断してしまったが、改めてアニメとともに聞き直すと、私の好きな野宮真貴のポップな声が、しみじみとして、少し重い内容の歌詞を、カラっと軽快に歌い上げているのが素敵だった。私自身が身につまされ、グッときた(T_T。経験のある方がご覧になれば同感して戴けると思う。大貫妙子のものは、「ピーター・ラビットはぁ〜」って歌うの好きだったのだが、「メトロポリタン
美術館」が入っているのでよしとしよう。ただ、「金のまきば」よくわからん歌だった。