【序】
6月26日というのは、猪木さんがジェットシン、
アリと闘った日。
この日に見たいと意識的に選んでテアトル梅田で見てきました。
DVDでは、副音声ガイドもついています。
【冒頭】
いきなり団地横の草むらに立つ猪木さんからスタート。団地の老人の
顔・顔・顔のアップ。アカシアの木?の木洩れ日。
(中略)
メイン
タイトル。
再び猪木さんの空を見上げる横顔のアップ。耳のつぶれ具合は、
レスラーならではのものだけど、縁のあたりは普通。現役時代は、
もっと縁までペシャンコだったのでは・・・などと思う間もなく、
ちびっ子達が登場。ひとりの小さな子を4人が追いかけるように
やってきて、一番大きな子が小さなこのTシャツをもって破こうと
しながら猪木さんのまわりを、取り巻くように走る。そこで第一声。
『元気ですかーっ!!』ではなくて『こらーっ!!』
尻餅をついて、去ってゆく4人の悪がき。猪木さん追いかけられて
いた子の方に手を置いて『大丈夫か?』
白いマーガレットの咲く草むらで、プロレスを教えだす猪木さん。
『いいか、腰を落として、もっとまっすぐに構えて』
手の指を開いて対峙して構える二人。
このポーズ。昔、プロレス雑誌で『キャッチアズキャッチキャンの
象徴的なポーズ。指が絡まったとき、三千種類とも言われる
プロレス技が炸裂する』そんな、解説が載っていた。さてこれから
どんな夢を見せてくれるのか。
【感想】
猪木ファンとしては、大満足。映画で主演と言っても誰が主演かよく
わからないような場合もありますが、まるで新日本プロレスのワンマン
エース時代。出ずっぱりの正真正銘の主演。よくここまで猪木さんに
まかせたなあと。そして、猪木さんもよく応えたなあと思います。
特に圧巻だったのは、泣くシーンと、夢のなかでリングにあがるシーン。
船で
ブラジルへと移民の旅の途中におじいさんが亡くなったことと
最初に結婚したアメリカ女性との間のひとり娘を失ったときのことを
思い出しながら泣いたそうですが、こちらも泣けてきました。
まさかのリングでのシーン。霧の中からあらわれたリングは、
マットもポールもコーナーマットもロープも白。まるで死後の世界。
かなり長い時間繰り広げられるひとりプロレスは、流石に様になる。
やや大振り気味のスライディングしながらのローキックは、
アリ戦を、
コーナーで崩れ落ちる姿は、ジェラルド・ゴルドー戦で胸にパンチを
受けたときを思い出す。「ほうきを相手にしてもプロレスができると」
言われた猪木さんの動きがみれただけでも満足です。
ストーリー的には、もともと原作者&監督の、別れた妻との間の息子への
思いの映画化とのことですが、なんともうまくいきすぎの感があり。でも、
それはうまくいかなかったことの裏返しか? 思えば、舞台となった
老人ばかりの団地も、悲しい過去を持った人の集まりでありながら、
ここでは心いやされているよう。なんだか理想郷。なのでここは、
「こうだったらいいね」というのを描いているのだとやさしく見たいと
思いました。
【ドリー・ファンク・ジュニア】
大魔神の大きなトランク。蓋の裏の部分に、DORY FUNK JR vs DAIMAJIN
と書いたステッカー。昔テレビのインタビューでベストバウドは?と
聞かれて、猪木さんが「ドリー・ファンク」と答えていたのを思い出して
ニヤリとしました。
【スキー・ジャンプ・ペア~Road to TORINO 2006~】
猪木さんの映画出演作といえば、格闘技系を除くと、この作品がオススメ。
アントニオ猪木役で、らしさ爆発です。
"冷静と情熱のあいだ" Blu と Rossoは、辻仁成氏と江国香織氏が意気投合して生まれた作品です。(出版社の企画ではないそうです。)
主人公の阿形順正は、学生時代の恋人「あおい」と別れて、
フィレンツェで絵画の修理士の仕事をしながら生活しています。
「あおい」のことが忘れられなくて、付き合っている時に約束した"10年後にある場所で会う"という、恋人同士の冗談とも本気とも取れるような約束を心に秘めながら日々を過ごしていきます。
日々の生活の中でも出会いや別れ、死などが起こり主人公の心を揺さぶります。
江国氏に配慮したのか、辻氏の他の作品に比べると泥臭さが少なく、リ
アリティが感じられるストーリーです。
自分の20代のことを思い出ながら、自分とは明らかに性格の異なる主人公"順正"くんの考えや生活や行動を興味深く読んでいった感じです。
Rossoを購入して、"あおい"さんの10年間の考えや生活や行動を見てみようと思いました。
辻さんのファンなら必須アイテムですよ!とにかく凄く良かった。ギター一本抱えてステージに立つその姿に、「流石、辻!!!」そして、勇気あるな〜。頼もしい!!!ギターも凄かった!あんなに上手いなんて思わなかったなんて言ったら本人に怒られちゃうな〜。でも何よりも、辻さんの凄いところは、言葉に込められた強いメッセージですね。もう、感動しまくりで最高でした。「う〜っ」と胸に来た曲は最後の「ありがとう」。そうそう、アカシアも忘れちゃいけない〜。名曲です。半移民的な生活をしている私には、数々の曲が大ヒットでした。色々書いてしまいましたが、全部良かった!!!辻さんこんな凄いライブDVDをありがとう。