東雲(しののめ)の途(みち)
弥勒シリーズはどれも素晴らしいけれど、今回もとてもいい。遠野屋清之介がますます人間らしくなってきて、過去と向き合おうとする必死な姿から目が離せない。一方、小暮信次郎の出番は少なめでちょっと残念。でもその存在感は相変わらず。品川宿の場面では今までにない信次郎の一面がちらっと見え、とても興味深かった。伊佐治目線の場面では親分と一緒に切なくなったり楽しくなったりと、一番感情移入がしやすい。この作品で根本的な問題はひとまず解決したけれど、まだまだ弥勒シリーズは続いて欲しい。登場するすべての人たちが幸せになれるまでもっともっと読んでいたいと思う。「東雲の途」を読み終わったら再び「弥勒の月」から読み返したくなったので、「夜叉桜」「木練柿」そして「東雲の途」とまた読んでしまった。何回読んでもすべての文章に引き込まれ前回以上にのめり込む、そんな作品だ。
弥勒の月 (光文社時代小説文庫)
週刊誌のレビューでいくつも大絶賛されていたので、購入。
テンポ良し、人物描写良し、ストーリーも明確(ミステリー仕立て)、かつ、練られている。
それより、テーマに共感した。岡っ引きの呟く「これが、生きるってことさ」
この本は、嫌なことがたくさんある毎日だけど、放り出すわけにはいかない現代に閉塞感を感じている人間へのバイブルだ!←言い過ぎか?
時代小説だが確かに同世代的である。
時代小説だから読まない、という人は損するかも。時代小説を読まない私ですらそう思った。
バッテリー 特別編 (初回生産限定版) (あさのあつこ書き下ろし小説付) [DVD]
CMやTV番組の特集で大々的に取り上げられていた「バッテリー」。劇場に足を運んで観た方々の多くは、「絶対、感動します」と口を揃えてコメントしていたことも含め、興味本位でこのDVDを購入した。
主人公の巧が、思春期を迎え、複雑な境地の中で周囲のさまざまな問題(病気を抱える弟に付っきりの両親をみての疎外感、上級生からのいじめ、親友の豪との対立など)と「自分」への葛藤を、周囲のちからを借りて乗り越えていく過程で、家族の絆、友人の大切さ、そして「自分」の存在を実感し、一歩一歩「こども」から「おとな」へと成長していく様子の描写は、現実的で共感をおぼえ、胸がジーンと熱くなる。
また、中学生の純粋さも映画を際立たせているポイントである。
何度観ても、感動すること間違いなしの作品だと思う。
The MANZAI 3
闘病中なので、1〜3まで、毎日のように聞いています。何度聴いても飽きません。石田さんと中井さんのコンビネーションがとてもいいです。
中学生の思いが伝わってきて、笑えて、でも、ときどき切なくて、あさのさんはいいですね。
原作も文庫本で読みました。
3のキャストトークも楽しさ満載です。
中古で定価より高く買ったけど、満足です!!
夜叉桜 (光文社時代小説文庫)
このシリーズが著者唯一の時代物とは思えないほど
時代小説としてのテクニックと風格に溢れ、
また探偵もの、捕物帳としての魅力も十分に兼ね備え
しかしその外見の魅力以上に、時代や世間に抗い
屈託を抱えた男たちのざらざらとした内面の描写に
震えるほど魅せられる一冊。
シリーズものの続編にありがちなパワーダウンや
荒い筆致など見受けられない丁寧な仕上がり。
文句なしの傑作。