J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調
オット クレンペラーという指揮者の評価はまちまちで、録音の多くは巨大な化石であるとか色々揶揄されています。しかし、このロ短調の曲の本質をこれほど明確につかみ演奏した例を聞いたことがありません。巨大な宇宙と調和のとれた世界、そしてキリスト教の世界観を大きな卓越した手法でつかみ取りそれを音楽にできる人とはやはり天才に違いありません。それにバッハの普遍性は巨大なバッハの音楽を通じ人間の原罪を明らかにするだけにとどまらず、傲慢になりつつある人間に対する警笛であるように思います。この意味でキリスト教会のための音楽でありながら、全ての人類に共通する悔い改めを提示する音楽であると思います。古い録音であることには間違いありませんがこれを凌駕する演奏は恐らくでてこないでしょう。