鈴木いづみ×阿部薫 ラブ・オブ・スピード
過日、とある書店でエリアーデ著作集を捜している時に偶然知り合った大学院生の女性に、その本の人って、あの白塗りの亡くなった美容関係の人と、大昔の例の男根を切り取った事件の人ですかと、左手に持っていたこの本のことを聞かれました。
一瞬、きょとんとして、すぐに爆笑。
彼女は、ふたりを鈴木その子と阿部定に間違ってくれたのですが、笑わそうとかいうことではなく、それ以外に思いつかなかったそうです、なんということでしょう。
ええっと、これは生誕60年だから出された記念本です。
生きていれば2人ともアラカンだったのに、鈴木いづみは36歳で首吊り自殺、阿部薫の方は29歳でブロバリンという睡眠薬を98錠も飲んで中毒死したという夭折カップルです。
彼女はモデルでピンク女優(死語!)で小説家、彼はジャズマン、アルトサックス奏者で、2人は結婚して一児をもうけて、その後離婚。
1970年代を駆け抜けていったビート・カップルです。
速度が問題なのだ・・・鈴木いづみ
誰よりも早くなりたい・・・阿部薫
アニバーサリイ本だから盛り沢山で、2人のPHOTOアルバムがあり、2人を信奉し愛してやまない人たちによるシンポジウムやエッセイ、中でも副島輝人の「絶対零度に向けての疾走・・・阿部薫小論」が秀逸で、これを読んだ後には周りが塵に見えますが、その他に両人の対談「愛しあって生きるなんて、おそろしいことだ」があり、彼女の6編の小説とエッセイもあり、巻末には年譜と書誌とディスコグラフィも付いていて、ファンならたまらない豪華本ですし、初めての方には完璧ガイド本って感じです。
私は、文遊社の鈴木いづみコレクション8冊と、セカンドコレクション4冊を、たまたま高校生の時にフラリと立ち寄った摩訶不思議な書店=ヴィレッジヴァンガードで見つけた時に、ピーンときて、即購入してむさぼり読みました。
70年代なのにいたって爽やか、少しもごてごてしていなくて古臭くなく、すっかり私のお気に入りです。
記述日 : 2009年9月21日 07:48:34
阿部薫 CD BOX 1970~1973
素晴らしいデザインのBOXです。
シンプルで、クールな雰囲気に満ちています。
1970年から1973年までの、どの演奏をとっても最高のパフォーマンスをしている記録が鮮やかです。
新しく発掘されてここに収められている演奏も生気に満ちています。
この時代の作品をひとつのBOXにまとめたのは、なによりも素晴らしいことで、これからもずっと聴きつづけると思います。
しかし、ショックだったのは、「五海ゆうじ氏秘蔵の…」と書かれたCMコピーから、「もしかして五海氏の未公開写真が見られるのでは…」という大きな期待があったのですが、使われている写真は書籍『阿部薫1949-1978』に登場したものばかり。五海ゆうじ氏が撮った阿部薫の写真は、他の誰よりもリアルな姿を写していただけに、ぜひ違ったものにしてほしかったと思います。
また、この時期の阿部薫の演奏をまとめて語れる方も、おられるわけで、7枚のディスク全体を通しての解説も欲しかったなあ、と感じました。
演奏とBOXについてはまったく素晴らしくて5つ星ですが、せっかくの作品にたいする注文で4つ星にしました。
ライブ・アット 騒 (GAYA) ─ 阿部薫、鈴木いづみ、フリージャズメンとの日々 ─
日本の70年代を象徴する音楽ジャンルの一つ、「フリージャズ」を作り上げたミュージシャンが大勢出演した
ライブハウス騒のオーナーの恵美子さんの本。阿部薫の「ライブアット騒」の舞台でご存知の方も多いと思う。
先日、この本を読了しました。興味深く、また味わい深い交流の話ばかりでした。タイトルに冠してあるだけあって
阿部薫の話が色んな箇所で出てきます。それこそ他のミュージシャンとの交流の話でも「阿部ならこう言うに違いない」なんて言う記述も
多々みられます。
阿部薫はわずか数年の付き合いで、絶大な影響を騒さんへ与えた人物だというのも思い知らされます。
随分前から出ている阿部薫覚書などよりも、肩の力が抜いて読めますね。あれよりも少しは阿部の素顔に迫っているはず。
また、これが一番書きたかったことなのですが…
本の中で度々、名前を伏せられたある「歌手」の話が出てきます。(おそらくこの本を手に取られた方や、興味のある方は知らない人は
いないと思います。)著者はその歌手の表現の仕方や阿部への発言が許せなかったらしく、徹底的に批判しています。
その辺の話を読んでいる時だけは、なんだかとても悲しくなってしまいました。
阿部とその歌手、両方から影響を受けている人は少なくないはずなんですが。(私もその一人です)
その歌手に対して悪い印象のまま騒さんは亡くなられてしまったのがとても残念です。
あの頃映画 「エンドレス・ワルツ」 [DVD]
一時期 阿部薫/鈴木いづみ氏にハマリました。
とり憑かれました。レンタルショップで映画を何度も
借りました。まだVHSでした。
映画が手元に欲しくて探しまくりました。会社に問い合わせたり。
アマゾンでも取り扱いが無かったのですが
しばらくしたら中古で出て来ました。
¥10000出して買いました。VHS。
私には高額な買い物でした。
でもそれほど当時の私にとって存在価値が大きかった。
DVD化されない、と思っていたら。
今や¥2000で買えるのか・・・
あの時の苦労はなんだったんだろう(失笑)
町田町蔵氏と広田レオナ氏はまさに適役だと思いました。
今は作品群、見聞しなくなりましたがこの映画作品は生涯
心に残る1つです。
阿部薫1949~1978
阿部薫を知るのに一番手っ取り早い方法は音を聴く事なのかもしれないが、この本は生前に交流のあった人たちの証言やエピソードなど、貴重な情報が満載である。あのスピード感に溢れたアルトの音色と同様、その生き様も疾走という表現がピッタリである。破天荒なイメージが先行しがちだが、本当はとても心の優しい人であった事が随所に感じられる。阿部薫が晩年に出演していたライブハウスのオーナー、騒 恵美子さんのリアルな証言は読んでいて涙が出そうになるほど胸にジーンとくる。