皆さん言っているように作画はすごいです。
バキ本編をこっそりこの作者が作画したとしても、言われなければ気付かない人がかなりいるレベルだと思います。
お話は若い頃の独歩の話ですが、何かちょっと違和感がありました。
独歩は本編では結構苦戦が多いキャラなわけですが、この外伝ではほぼ無双状態なのがちょっと引っかかる感じ。
これがバキ外伝じゃなくて餓狼伝外伝で松尾象山が主人公ならもっとしっくりきたのかも。
あと本作はバキ本編よりはかなり強さを押さえて描かれていますが、それでもバキワールドゆえ人間離れした強さです。
伝説の虎殺しも描かれているのですが、せっかくの伝説的エピソードがちょっと緊張感に欠けるというか弱い物いじめみたいで入り込めませんでした。
ぶっちゃけ、バキワールドだと動物は必ず噛ませなので、虎殺しとか全然凄く思えないですよね…。
マス大山本人を描いた昔の漫画の
空手バカ一代だと人間の力では到底敵わない牛を相手に空手で戦うという無茶が緊張感いっぱいに描かれていて、正直このエピソードに関してはあっちの方がずっと面白いです。
著者は格闘マンガにおける日本最高の漫画家である。自身も子供の頃から最強の格闘家を目指し、マス大山の幻想に取り憑くかれ、何の役にも立たなかったが大山の言葉を真に受けて山篭りしてしまったり、身体を鍛えても文句を言われない職場を求めて自衛隊に入り、ボクシングもやったし、少林寺拳法2段の腕前である。まあとにかく格闘技全般に造詣が深い。ちなみに板垣は、合気道をずっとバカにしていたのだが、友人が
塩田剛三に弟子入りしてからは考えを改め、なんと
塩田剛三の弟子にもなったほどである。(残念ながら弟子としては最後の世代で、直接技を掛けてもらったりしなかったことをずっと悔やんでいる。チャンスは何度もあったそうだ。)
まあ、そんな著者が、現代の[達人]達に直接インタビューした報告である。しかも、著者はマンガの中で、「我々日本人は達人にあくなき憧憬を抱いている。しかし本当に達人が戦う姿を見たことがあるでしょうか?」という解説をおっぱじめ、タブー中のタブーにして名言『達人は保護されている!』を解説者に語らせたような人物である。
しかも、達人の逸話のうちウソっぽいものは達人の評価を下げるといって嫌い、本当に強いのか?を知りたいという態度で臨むような人である。であるからして、こいつの達人インタビューがつまらない結果になるわけないのである。どうですか?面白そうでしょう?
インタビューも、板垣でなければ絶対に達成できないような達人ラインナップであり、とにかく抜群に面白いのでぜひとも読んでいただきたい。
ピクルの二番煎じな
宮本武蔵。
勇次郎と戦えばいいのに欠伸をしまくるファイターたち。
対戦相手へのリスペクトの念が欠片もないアホ面チャンピオン・・・。
刃牙道。
それは読者が歩む、「まーた板垣やっちまってるよ・・・」の道。
毎週木曜日、チャンピオンが発売される日、ため息をつきながらも
刃牙を読まずにはいられない業を背負ったものどもが歩む道。
果たして列ボクシングの続きが書かれることはあるのだろうか。
何もかもがガッカリなバキ新シリーズ、早くもグダグダな予感。