ノスタルジックな音楽,美しい映像,出演者のエキセントリックな演技,どれをとっても最高の作品。そしてジュヌビエール・ビジョルト演じるヒナゲシの可憐さ。全編を通してのユーモアセンス。
ラストのプランピックの奇怪な(当然の?)行動と,「美しい旅は窓からするものだ」と達観する男の一瞬の怖い表情。馬鹿馬鹿しい戦争をやめない人々と,人生を楽しむ施設の住民達。どちらが賢いかは,観終えると一目瞭然だろう。文句なしに星5つ。
第一次世界大戦中、
パリ北方の小さな村を訪れたイギリス軍の通信兵(伝書鳩の飼育係)(アラン・ベイツ)。
彼の使命は、
ドイツ軍が撤退時に仕掛けていった時限爆弾の撤去だった。
村の住人は避難しており、残っているのは解放された精神病院の患者と動物だけ。
患者たちは、村に繰り出し、思い思いの生活を始める。
残った通信兵は、自らを「ハートのキング」と名乗ったため、患者たちからハートの王様と仰がれ、
奇妙な日常生活が始まるが、やがてイギリス軍、
ドイツ軍が現れる・・・。
反戦のメッセージだけでなく、患者と王様になった主人公が村で過ごす、夢のような別世界の奇妙なおかしさ楽しさが魅力。
ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが初々しく可愛らしい。
それだけに有名なラストは、せつない。
純粋な者の美しさ。本当に狂っているのは誰なのか?本来持ち得る映像作品の本当の力を感じます。
以前テレビで2,3回観ました。また、とっても観たいのですが、DVDは既に絶版。残念!
レンタルショップにビデオがあれば観ることができます。
レンタルショップやBS放送が存在せず、“映画は映画館で観るもの”との自明の論理が通っていた頃、映画ファンは、観たい映画を探し求めて、名画座を駆け巡ったり、TVの深夜放送をエア・チェックしたりと、積極的に過去の傑作たちを追い続いた。そんな時代の“まぼろしの傑作”として、ファンの間では、カルト的な人気を誇っていたのが今作。
第一次大戦末期の
フランスの田舎町、町民が逃げた後、取り残された精神病院の患者たちが、コスチュームを着飾り、カーニヴァルに興じる一方での、果てしなく続けられる仏独軍入り乱れての戦闘行為。
ファンタジックで奇抜、そしてなによりリリカルな
タッチの中、患者たちの眼から見た戦争の愚劣さと狂気をシュールに描いた傑作、と言う事は、今作に関心をお持ちの人なら御承知の通りだと思う。
黄色いパラソルを両手にゆらゆらと揺れるロープの上を渡るジョヌビエーヴ・ビジョルドは可憐だし、マダム・エヴァ役の
フランスの名女優ミシュリーヌ・ブレールは芳醇な色気を感じさせてさすがだし、作品全体から漂う独特のムードは今も色褪せない。
アラン・ベイツが最も輝いていた頃だが、この当時の彼の主演作は一向にDVD化されないなぁ。不屈の闘志を持った男を演じたジョン・フランケンハイマーの「フィクサー」とか、野生派オリバー・リードと毛むくじゃらの愛撫が鮮烈的なケン・ラッセルの「恋する女たち」とか、マニア垂涎の傑作だと思うが。
そして、一向に陽の目を見ないと言えば、今作の監督であるフィリップ・ド・ブロカ。ジャン・ポール・ベルモンドと組んだ「リオの男」や「おかしなおかしな大冒険」は、映画愛に満ちた何ともオモシロい作品だった。
最近、ミア・ファローの「フォロー・ミー」が、久しぶりに1日間の限定上映されたのは記憶に新しいが、まだまだあの当時の“まぼろしの傑作”は数多い。メーカー各社にも、是非頑張ってもらいたいものだ。
戦争をテーマしている作品でアメリカや、日本では絶対作ることができない作品です。平和を愛する事の大切さを声を出さなくても映画を観ているだけで伝わってきます。LDを持っていますがまだ封を切っていません。どうしよう・・・