紀元前のギリシア都市とペルシア帝国との間で行われた戦争の様子が、リアルに描かれている。マラトンの戦い、サラミスの海戦、ペロポネソス戦争 etc.などは、どれも古代史上有名な戦いだが、当時の戦況をこれほど詳細に記述したものは読んだことがない。古代ギリシア世界をテーマにしたユニークな一冊。
映画を見る参考にと、本書を読んだ。
何年にどんな出来事があったという年代記の形式でなく、バゴアスの回想という形式なので、思い出したことを書きとめた、という語り方になっており、とても臨場感はあるのだが、いつ、何があったのかがわかりにくかった。
ただ、歴史の授業で習ったような、マケドニアから出てきた野蛮なギリシア人が武力でインドの奥地まで征服しましたよ、へえ、すごいですね、という表面的な知識に加えて、既にペルシャ帝国と文明の支配がインドにまで及んでいていて、それにアレキサンダーが乗っかる形で大帝国を成立させた、つまりペルシャの文明度の高さがまずあって、その支配層に
ギリシャ人が加わったものがアレキサンダーの帝国だった、という事実が丹念に描かれており、ペルシャ側からみたアレキサンダー論のようにも読め、面白かった。現代のイラン人が何故あんなに誇り高いのか(高すぎると時々思うけど)、多少理解できたかも。