公開時、今作は、T・バートン版のバットマン・ワールドの崇拝者から、大いなる失望とバッシングを買った(ボクもそのひとりだ)。そのダークで屈折した世界観は消え、特に、トゥー・フェイスの扱いなど、“かってのゴッサムの正義派検事で、分裂した二重人格者”と言う今シリーズの悪役の中でも、屈指の魅力的なキャラクターでありながら、しかも、トミー・リー・ジョーンズと言う、当時超ホットで、ハードボイルドな名優に演じさせながら、何の苦悩も深みもない、“ただの騒々しい狂人“に貶めてしまったのは、許しがたいと思ったものだ(笑)。でも、再見してみると、その薄っぺらさに目をつぶれば、“動くコミックブック”と評されたド派手な色彩感覚と、プロダクション・デザイナーのバーバラ・リングの優れた仕事振りは評価されるべきものだ。ロビン・ウイリアムズが断り、リドラー役に抜擢されたジム・キャリーは正にハマリ役だし、二コール・キッドマンは、凄ぶる魅力的だ。削除されていた未公開シーンが観れるのも「バットマニア」としては楽しみ。
バットマンの映画は新旧7作あるが、旧シリーズの後半J.シュマッカー監督の2作品は、T.バートン監督の2作品が有名なために注目度が低い。3作目「フォーエバー」の主役が薄めのV.キルマー、4作目が濃い目のJ.クルーニーと役柄のイメージが180度転換したのも災いしている。かような訳でなおさら影の薄い3作目だが、よく見直してみるとこれが意外に悪くないのである。バートン版バットマンのダークさはあくまでバートンワールド、ノーラン版バットマンのリアルさはフィルムノワール。本来のコミックワールドのバットマンとは、ある意味別世界の映画版といえる。その中の立ち位置で言うと、7本の映画のうち一番うまくコミック調を生かした映画化が「フォーエバー」ではないかという気がする。サイケな蛍光カラーを強調した闇夜の街のデザイン。相棒ロビンの登場、リドラーとトゥーフェイスのW悪役のキャラと登場人物も豊富で、それぞれがいい味を出している。最新作「ダークナイト・ライジング」のあまり面白みのないベインなどと比べたら、J.キャリーとT.L.ジョーンズの悪役演技は圧倒的に面白い。このオーバーアクトもこの映画のイメージにピッタリ。女優陣もバラエティ豊富で、チェイス博士のN.キッドマンはオーソドックスな美人ヒロインだし、トゥーフェイスの助手役でD.バリモアも出ている。というわけで、結構オールスターキャスト。すべてのバットマン映画のなかでは、一番豪華な配役と言えるのではないか。アクションのバランスもよく、娯楽映画として虚心坦懐に評価するとなかなかいいと思うのだ。
特典映像の「未公開シーン」を見ると、トゥーフェイスの憎悪の背景、ロビンの執念、バットマンの変身理由など、本当は結構シリアスに突き詰めようとした形跡がわかる。それこそがノーラン版の新シリーズで突き詰めた側面であったわけだが、あえて「フォーエバー」ではそこを捨てて「娯楽」に徹したのだ。最近の映画はどんなに長くなろうと描きたいことは全部入れるみたいな映画が多い。「フォーエバー」の潔さは、バートン版のマニアックさから脱却した娯楽アクション映画に徹したもので、それはとても賢明な判断だったと思う。それも考え合わせると、なおさらこの映画の評価を上げようという気になるのである。もうひとつ付け加えると、Sealのテーマ曲「Kiss from a Rose」は、多くのカバーが出ている名曲。なんだけどエンド
タイトルに、ちょろっと出るだけというもったいない使い方をされてこれは残念。
バットマンとリターンズが公開された後、続編もT.バートンかと思いきや、
ワーナーブラザーズが
スタッフ・キャストを一新するという事を聞いて、
ショックを受けました。
当然のことながら音楽も・・・。
そしてリニューアルされたバットマンを映画館で鑑賞した時、かなりがっかりしました。
音楽もそのとき初めて耳にしたのですが、今までずっとエルフマンのメインテーマが耳に焼きついていた私には「類似してる部分もあるな」と思ったんですが、映画を見終わった後このサントラを買い、家でじっくりと聴きましたが、
やはりエルフマンの音楽にはかないませんでした。
このときのエリオット・ゴールデンサールの音楽はたいしてピンと来なかったのですが、後にリリースされた「ファイナル・ファンタジー」の音楽はかなり良かったですね。映画はちょっと、と思いましたが・・・。
このサントラはホルン吹きに聞いてもらいたいですね。
もちろん金管楽器をやってる人全般にも。
エルフマンの曲よりも全面的に金管楽器が押し出されているので、そんなところを聴いてもらいたいですね。
前作・前々作よりもうんとクラシック・宗教的になったバットマンの音楽をどうぞ!