風花病棟 |
とても、精度の高い短編集ですが、私は人間性は
ここまで残酷になれるのかと読んでいて怖かった です。 本当のホラー小説は人間性。 作者は人間の良心と、その対極にあるものを 書きたかったのかな・・ この短編集の中にある「ショットグラス」は 本当に怖い話です。 患者に我慢を強いる医師や、あまりにひどい 強姦犯人がでてきます。 作者のことなので、どこかの大学や病院で 実際に経験をした話でしょう。 それを思うと怖くなりました。 |
閉鎖病棟 (新潮文庫) |
作者は精神科医らしい。物語もある精神科病棟の中の出来事。最初はそこの入院患者が一般の世間でどのような事件を起こしてその病院に収監?されるに至ったかなどの描写があり、後半はその病院の中で繰り広げられる色々な出来事、そしてまさかと思ったが殺人事件、その裁判までの話しが描かれている。
この本の評論はとても難しい。どのように感じるかも人それぞれだと思う。 何か犯罪が起こっても精神病院の履歴があるという事で、実名報道がされなくなったり、かと思ったらこの前の幼児殺人事件の犯人は履歴があるにもかかわらず顔まで何度も写されていたし、先日捕まった浮浪者殺しの容疑者も報道は慎重。この差は何なのだろう。そもそも誰が線を引いているのか? あと「だから精神病患者は隔離せよ」などの極端な意見の差別論者のコメンテーターもいるか、たまたま朝日新聞の社員が痴漢で捕まったら、朝日新聞の社員はすべて痴漢だと言っている様な者で、それこそ個人差があってしかるべき。 そのような人たちすべてが安心して暮らせる社会を作るのが政治だろう。しかし今の政治は、官僚の利益確保にしか目が行かない…。 だからやはり一度政権交代をしなければならないと思う。 全然違う方向にまとめてしまいましたが(笑)、それくらい考えさせられるテーマであり本です。 |
三たびの海峡 (新潮文庫) |
内容を知らずに読み始めました。私はお隣の朝鮮という国をあまり知りません。
しかしこの本を読んでいると、その知らないはずの国がぼんやりと 見えてくるような気がしました。これこそが読書の醍醐味だと思いました。 アリランという言葉、聞いたことはありましたが、 文中で読んで、これほど胸に訴えかけてくる歌だったのかと思いました。 あまり馴染みのない国、人でありながら、 ぐいぐいと引きつけられて読み進めてゆきました。 最後に、市長?候補か何かをやりこめた演説?ではスッキリとしました。 しかし最後に、親しかった人のリンチが明らかにされたことにびっくりしました。 それまで書かれなかったことが不自然だし、隠す必要はなかったのでは? そして最後の最後の殺し方が、インスリンというのもちょっと脱力しました。 しかし読み応えのあるいいお話だったと思います。 |