夜と霧の隅で (新潮文庫)
日本人純文学作家の作品の中に、たまに戦時中のナチスドイツを描いたものを見かけます。
人間というものは極限状態に置かれた時にこそ、その真価が問われるものであり、まぁナチスドイツというのは極限状態の典型例のようなものでしょうね。
それに、連合国軍側から見たナチスドイツでもなく、ドイツ人の目から見たナチスドイツでもなく、日本人の目から見るからこそ、余計な感情や感傷が混入せず、より客観的に見ることができる、というのもあるかもしれません。
本書の表題作『夜と霧の隅で』は、ナチスドイツを舞台とした作品です。ナチスに翻弄される中、医師としてできることを最大限にしようとする人々の煩悶する姿を、彼らの押し込まれるいびつで窮屈な世界を、堅くしっかりとした文章で築き上げています。ちょっと難しくはありました。
作者の北杜夫といえば、アララギ派の歌人斎藤茂吉の息子で、『どくとるマンボウ』シリーズが代表作として有名なようですが、本作もまた間違いなく代表作の一つといえるでしょう。
ALWAYS 続・三丁目の夕日 オリジナル・サウンドトラック
まさかの「ゴジラ」のテーマで幕明けです。伊福部音楽も大好きな自分にとっては嬉しいプレゼントのようで、この続・三丁目〜のアルバムに入っているということに価値があると勝手に思っています。まったく同じではなく本家より軽快なオーケストラで佐藤氏らしさが出ているのが絶妙。
もちろんあの泣けるテーマ曲も健在。楽器もいろんなアレンジがされています。
そして特に後半18.「指輪(本当に泣ける)」、19.「嘘」、20.「踊り子」、21.「再会」、22.「ALWAYS 続・三丁目の夕日」は泣ける曲怒濤のなだれ込みでおなじみのメロディ+新メロディの編曲がとても新鮮で素晴らしい!ポロポロ涙が止まらず、ぞわ〜っと鳥肌が立ってしまいました。
全体的には前作より静かな印象かもしれません。
まだ作品は見てませんが絵が勝手に頭に浮かんでしまいます。自分の想像を超えていることを願い、又、楽しみにしたいと思います。
オブ・ザ・ベースボール
文學界新人賞受賞作。芥川賞の候補作でもある。
出版される作品としては早川書房から出た『Self-Reference ENGINE』、『Boy's Surface』に続く3作目。
『Self-Reference ENGINE』は読んだが、すごく面白いSFだったので、この作品もそのつもりで読んだら、ちょっと感じが違った。オブ・ザ・ベースボールはSFっぽい設定ではあるが、とても読みやすい小説。
もう1作、収録されているのは、『つぎの著者につづく』という作品だけど、こちらはとても一段落が長く(2ページ近くになるのもある)、また引用も多くて、難解。でも、こっちの方が好きかな。
猟銃・闘牛 (新潮文庫)
井上靖氏の作品との出会いは、「しろばんば」「夏草冬濤」「あすなろ物語」であった。それらの作品群とは異なる初期の作品である。
毎日新聞社記者生活14年を経て、初めて世に出した小説「猟銃」は、不倫をテーマにした書簡型小説。愛人の娘、愛人、妻、それぞれからの手紙が、真実を伝える。
「闘牛」は芥川賞受賞作品。夕刊専門誌の新聞社主催で、西宮の球場で牛相撲(闘牛)大会を開催する。成功させるために紛争する男の物語。 「比良のシャクナゲ」は、老医学者が人生の転機で訪れる琵琶湖畔堅田の旅館で語る家族への不満。勝手で孤独な老人の愚痴が涙と笑いを誘う。
作家が初めて世に送り出す作品は、どれも魂がこもっている。「孤独」を心に抱えながら必死でがんばる登場人物たちの姿が、痛々しくもあり、涙と笑いを誘う。井上靖の原点となる作品をぜひお読みいただきたい。
テツワリミックスズナリ2009 [DVD]
戌井さんの頭の中の世界へようこそという感じです。地獄あり天国ありというか、平成の見世物小屋とも言われているし、コントのようでもあり、落語のようでもあり、寸劇や歌舞伎、狂言、浪曲などすごい世界です。毎年いろんなところで公演をやっているので見に行く前に参考に見てみるといいとおもいます。なにしろ生で見たほうがすごいですが、映像もすごいです。毎回記録に残してほしいです!