「ドラクエに思い入れはあるけれど、オンラインゲームはちょっとなぁ・・・」と思っている人に向けて。
Wii版から遊んでいた友人にすすめられてPC版を買いました。プレイ歴は、PC版発売の時期からなので半年ほどになります。
遊びはじめてみると、何をためらっていたのか忘れてしまうくらい、おもしろいゲームでした。
オンラインゲームが初めてのひとにこそ十分に楽しんでもらえるように、という意図で作られているのがよくわかるシステムになっています。
無理に他人と関わらなくとも、きちんとエンディングまで辿りつけます。なので、クリアのために人間関係が必須ではないのですが、自然とできるゆるやかな他人との関わりが楽しかったりモチベ―ションになったりしていて、うまく作っているなぁと感心しました。
ただ、あまりにいつものドラクエと同じように遊べるので、「どうしてオンラインゲームにしてしまったのかなぁ?」という疑問もありました。オンラインというだけで、どうしても敷居が高くなるのは事実です。その理由が、任天堂のインタビュー記事でふれられているのを見て、なるほどなと思ったので抜粋します。(『社長が訊く
ドラゴンクエスト'10』より。開発裏話とか好きな方は原文おすすめします)
「“もうひとつの世界”をつくりたかったんだよね。町の人の台詞を書くときも、なるべく本物の人を感じられる、温かみのある台詞を意識して書いたんです。『IV』ではそれぞれの登場人物に別の人生があった、という章立てにしたり、AIという、思いどおりにならない仲間たちをつくったりして、いろんな“人”の気配をつくってきたんです。」(堀井雄二)
思い返すとドラクエの世界のキャラクターは、町の人もお城の兵隊も井戸の中のスライムも、みんなどこかあたたかみのあるキャラでした。
「はなす」としゃべってくれる仲間との会話システムに夢中になって、ストーリーを進めるたびに話しかけたのを覚えています。
“人”の気配を作ることに心を砕いてきたドラクエが、本物の人が動かすキャラクターが走り回る世界になったのは、自然な流れだったのかもしれません。
そして、オンラインゲームになった理由をもうひとつ。
ファミコンのドラクエ第1作が発売されてから、今年で28周年になります。
シリーズ全編にわたって音楽を担ってこられた作曲者のすぎやまこういち先生は、この春で御年83歳を数えるそうです。
一作に4年、5年という長い制作期間をかけて作られるようになった
ドラゴンクエストは、いつまで「堀井雄二」「すぎやまこういち」「鳥山明」という御三方の名前をエンディングロールに流せるのか。この三人の誰か一人でもゲーム制作にたずさわれなくたったとき、
ドラゴンクエストはどうなるのか。もう10年も前、ドラクエ8が発売されたころから既に言われてきたことでした。
子どものころからずっと遊んできたドラクエが終わってしまうのはしのびない
でも、声優を変えて続いていくアニメのようになってまで作り続けて欲しいか・・・
この問いへの答えが、今作をオンラインにした理由のひとつだと思います。
オンラインゲームの最大の特徴は、「たくさんのプレイヤ―が世界を共有している」ことです。
そして、もうひとつ、「世界は不変ではなく、常に成長してゆく」のもオンラインであればこそです。
数ヶ月ごとのバージョンアップで世界は奥行きを増し、追加ディスクで物語は続いてゆきます。
かつてDQXのディレクターは「Xをドラクエが好きな人が集まる場所にしたい」と語り「この世界を十年以上続けるつもりだ」と語りました。四半世紀を超えてドラクエにたずさわってきた方々の御歳を考えると、十年先を見通した言葉は哀しいほど真剣に響きました。
もしかしたら、数年後に私たちはDQ11を手に取ることができるかもしれません。でも、DQ12は?DQ13は・・・。
おそらく、
ドラゴンクエスト本編として、最後まで続くのはDQXの世界になるでしょう。
ドラゴンクエストの作り手たちは、いずれ必ず訪れるその日のために、この日本で最も愛されたRPGの十作目として、「終りのない
ドラゴンクエスト」を作ってくれたのですから。
「ドラクエは好きだけど、オンラインゲームは遊びたくない」と思ってためらうならば、あまりにもったいないです。
このゲームはオンゲ好きの人のためではなく、ドラクエが好きなひとのために作られました。鳥山明のキャラクターが動き、すぎやまこういちの音が世界を彩り、そして堀井雄二の眼差しがある、あなたのよく知っているドラクエの世界が息づいています。
PC版なら無料体験版もあるので、ちょっと覗いてみるだけでも。
以下、購入を検討する方への、もうちょっと具体的な話。
【料金】
パッケージ価格・・・はここの値段ですね。もれなく無料期間が20日間つきます。
メインストーリーだけならば無料期間で終わっちゃうかもしれません。もっと遊びたくなったら、30日分の利用券が1000円。
携
帯電話の本体価格と通話料のような関係です。どれだけ遊んでも定額です。
また、「キッズタイム」という無料でプレイできる時間帯があります。
・月曜日〜金曜日(祝祭日を含む)16時〜18時
・土曜日・日曜日 13時〜15時
スクエニ的には完全にサービスタイムです。「キッズタイム」という名目ですが、年齢認証などはありません。青春18切符のノリです。
「今はキッズタイムに遊ぶ子ども達も、数年後には自分のおこづかいで月額料金を払って遊んでくれるようになるはず」という趣旨だそうです。
【PCスペック】
ここ数年のパソコンならだいたい大丈夫なようです。なんといってもWiiで遊べるゲームです。
私は1年前に買った定価8万円くらい(買ったときはその半額くらい)のノートパソコンで遊んでいますが、特に問題なくスムーズです。
ベンチマークというPCの性能をチェックするソフトもありますので、詳しく知りたい方は公式HPでご確認ください。
【ストーリーなど】
ストーリーに専念する・・・というのが何より難しい攻略法だと思うくらい色んな遊びの要素があるのですが・・・順当に進めてゆけば、数十時間でラスボスを倒してエンディングを見ることができます。そしてその先にも、遊びきれないほどのやり込み要素が用意されています。レベルを上げて強敵を倒していくのはもちろん、職人、ハウジング、ストーリークエスト、チームプレイ・・・・・・プレイヤーひとりひとりが驚くほど様々な遊び方をしているゲームです。
【キャラクター】
自分のキャラについては、ドラクエ9のようにキャラメイクができます。
鳥山明画の人間キャラについては好みが別れるかもしれませんが、異種族・モンスター造形はやっぱり魅力的。
美麗グラフィックを売りにしたリアル路線のオンラインゲームと比べると、子ども向けのアニメっぽい、手の込んでないグラフィックに見えますが、実際に動かしはじめてみると、仕草やモーションに異様なほどこだわりぬかれていてどんどん愛着が湧いていきます。さらにPC版だとなかなかに世界がきれい。
【音楽】
すぎやまこういち作曲
この方の名前以上の紹介は必要ありませんね。
過去作の音楽もちらほらと聞くことができて、一瞬でなつかしさが襲ってきます。ドラクエやっててよかった!と思う瞬間。
PC版では現状ドラクエ最高音質のオーケストラサラウンドが楽しめます。このためだけでもPC版をおすすめしたいです。
【操作性・システム】
ものすごくシンプルでわかりやすいです。
音楽・キャラクターと並んで「ドラクエだ!」と強く感じたのは、あのひらがなのコマンド画面でした(笑)
序章となるオフラインモードから始まりますので、操作の感覚はそこで慣れてから、安心してオンラインに進めます。
PC版の操作はキーボードを使うことになるので、慣れないうちは動かすのが難しいかもしれません。
ゲームパッドと呼ばれるPCで使えるコントローラーを繋ぐとより遊びやすくなります。
安いものは1000〜2000円程度であります。連射機能つきのやつだと楽らしいです。
【プレイヤー】
・サーバー数40(全サーバー・バザー・郵便機能は共通)
・デイリーアクティブユーザーが30万人(14年1月時点。プロデューサー談)
・国内展開のみ
遊んでいる感じだと、毎日びっくりするほど人がいるなぁと思います。
Wii版の発売から1年半以上が経ちましたが、ゆるやかにプレイヤー数は増えていっているようです。
【今から始めても大丈夫?】
大丈夫ですよー。
始める時期によって進行にさしさわる、ということはほとんどないです。
むしろ、最近始めたプレイヤーの方が遊びやすくなっているのはまちがいありません。
発売から1年半を経て洗練された豊富なコンテンツがそろい、システムはより便利に、レベル上げもしやすくなって、ゲーム内の経済も成熟し・・・。発売当初荒削りであった部分はずいぶんなめらかになり、多くの人にとって遊びやすくなりました。
もし、Wii版最初期から始めた方と知り合えたら、初期の苦労話を聞かせてもらってください。1年半前のレベル上げがどれだけ大変で、どんなにかゴールド稼ぎに苦労したか・・・ピンクモーモンが平田がメガザルロックフェスがリーネがタコメットが夢のマイホームが・・・。
「今じゃ考えられないだろうけどね」と苦笑しながら、けれど少し誇らしげに、彼らの冒険の思い出を語ってくれるでしょう。
【追加ディスク】
現在ドラクエXは「目覚めし五つの種族」と、追加ディスクの「眠れる勇者と導きの英雄」があります。
上・中・下巻と別れている物語のような感じです。追加ディスク単体では遊べないのでご注意を。
また、それぞれダウンロード版とパッケージ版が選べます。ゲームの内容に違いはありません。
(Amazonで無料体験版で遊んだ後にダウンロード版購入すると、特典アイテムがついてきます。このアイテムはゲーム内のバザーでいい値段で売れるので、序盤にはとても助かることでしょう)
【運営・開発陣】
作り手との距離が近い、というのはオンラインゲームならではのおもしろいところです。
現在、月一で公式の動画放送があり、公式HPには投書形式のフォーラムがあります。
バージョンアップの前後には情報が公示され、また不定期でRMT対策について報告が載ったりします。
その他不具合の修正や、バグやメンテナンスの状況報告など、こまめに誠実に対応していると感じます。
総じてドラクエ10の運営・開発
スタッフは「すごく良い」と思います。完璧だとか最高だとかはさすがに言いませんが。
ドラクエ本編に恥じないゲームであろうとするプライドと、より楽しく遊んでもらいたいという情熱が感じられました。
これから先、このゲームはまだまだおもしろくなっていくだろう、と信じさせてくれます。
【始めるとき知っておくと良いこと】
エンゼル帽子・・・レベル40まで経験値&ゴールドが2倍になる帽子。新規プレイヤーには全員プレゼント(2014年5月31日まで)
プレゼントのじゅもん・・・ゲーム内で役立つアイテムがもらえます。まとめサイトがあるので検索してみましょう。
トークン・・・大事。スクエニ提供のセキュリティサービス。
冒険者の広場・・・公式サイト。バージョンアップ情報やメンテナンスのお知らせなど大事な情報から様々なコミュニケーション機能まで。
DQXTV・・・ニコニコ生放送にて月1で配信される公式放送。過去の放送はYoutubeに転がっています。
追記(3月29日)
【Yahoo!ゲーム版について】
2014年3月27日より、YahooIDでPC版ドラクエ10が遊べるようになりました。
○有料?無料?
無料体験版があり、製品版を購入することもできます。PC版と同じです。
料金の支払いはYahoo!ウォレットから。
○Windows版(PC版)と何が違うの?
・製品版が安い
「
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族」の製品版ダウンロード価格が今までのPC版より安いです。(追加ディスク「眠れる勇者〜」は同価格)
「目覚めし〜」Windows版定価 3,990円→Yahoo!版 2,800円+税 ※月額利用料金は同じ
・スクエニ提供のワンタイムパスワードが利用できない
アカウントハッキング防止策として、二重ロックのような役目を果たすのがトークンによるワンタイムパスワード(使い捨ての暗証番号)です。
オンライン版「おきのどくですが ぼうけんのしょは きえてしまいました」状態を回避するために、ぜひ利用したいセキュリティなのですが・・・。
・その他、クラウド版(dゲーム版)・キャラクター引っ越しサービスなど、スクエニアカウントに紐づいたサービスが一部制限される
○つまりどうなの?
無料体験版を気軽に遊びたい、というだけならばYahoo版は適していると思います。
が、製品版購入となると、後々の安全性や利便性を考えてWin版かなぁという感じです。
amazon価格との比較なら現在500円ほどしか変わらないようですし。