![]() 破戒 [DVD] |
この作品は、不思議なことにスリルが有る。
俳優さんや監督さんの技術が優れているという事もあるが、 内容が差別問題であるという事がその要因だと思います。 被差別者であったが為に傷心し悩む主人公の、小学校教師。 しかし、そんな事とはいざ知らず無邪気な子供達の顔をみると、 とても打ち明けられないでいる。これは心の葛藤という単純な物ではなく 同じ人間でありながら同じ日本人でありながら、区別される自分が 現実に存在し、それを隠さなければ現在の自分が壊れるという恐怖。 そう、これは単純に恐怖と言って過言とはならないだろう。 結果、最後にその恐怖を取り除いてくれたのは、他でもない 自分の教え子達。そう、小学生なのである。何が破戒だ! あの子達の純粋な笑顔と綺麗な正しい心を見よ! そう、被差別者出身の彼は、他の何者でもなく、 生徒達にとっては、まさに真面目で正しい先生でしかなかったのだ。 人生の修行で苦行を好む人間でも最後には至福を受け取る権利があるのだ。 不当な身分制度で、子孫の人間の価値をを区別するのではなく、 平和と平等の名の下に、悪の人格や悪の素行を区別するべきなのだ。 最後の方で、この主人公の教師が小学生の生徒達に頭を下げ、 「実は私は、部落民でした、いままで黙って教師をしていてすいませんでした。」 と泣きながら言うシーンがある。しかも職場である教室の教壇で・・・・。 素晴らしいプロ根性である。 この時私は侍魂を見た気分だった。 人柱となったこの人達がいるおかげで今の日本が存在するのだろう。 この物語の詳細は実話ではないが、 おそらく同じような事が実際に起こっているはず。 人によっては逃げ隠れしたりしてしまうだろう。 しかし人柱となり火の付いた屋根を支えた柱は、 たとえ家が全て焼けたとしても、その魂は永遠に不滅である。 そして忘れてはいけない。人にやらせるのではなく、 自分でやらなければ、論ずる資格なし。勇敢なこの男に感動した!!!! |
![]() 破戒 (まんがで読破) |
この話を読むと良くわかるのだが、この世の中から、人間の意識から差別を完全に無くす事
は、まず不可能である。だが、それでも人を差別するのは民主主義社会において最も恥ずべき行為の一つなのだ。人間の場合、自分より下の人間を作ることによって、プライドを保って生きている面がある。『破戒』においては、そのような描写が赤裸に綴られているので、是非読んで頂きたい。 |
![]() 破戒 (新潮文庫) |
すべての生は寓意に帰する。
藤村によって達成された告白文学の頂点。この小説を現在なお続く同和問題と結びつけて しまっては、悲しいかな、その本質は何一つ理解されることがない。 人にはどうにも抗うことのできぬ宿命がある、先天的にせよ、後天的にせよ。あるいは人は 運命を変えることはできるかもしれない、しかし、宿命を変えることはできない。担う宿命 こそ違え、この一点において人はみな等しい。その悲しい屈服を論じた一冊。 「生まれてすみません」 太宰のけだるきナルシシズムにこのことばは似合わぬ、藤村の告白にこそふさわしい。 部落如何にかかわらず、すべての生に象徴的な作品。 |
![]() ゴールデン☆ベスト ダーク・ダックス |
彼らの得意曲を万遍なく集めている。ダークのCDを初めて買う人にもお勧めできる無難な一枚。
「銀色の道」「花のメルヘン」等に関しては、ヒットしたのがキングレコード在籍時代である(このCDではポリドールでの再録音でありオリジナル音源ではない)ことに注意。 |
![]() Piano Nightly |
「夏のまぼろし」を聴いている時、フッとエリック・サティの曲を聴いているような感覚に襲われました。彼女の感性で再構成するとまた新しい音楽が出現するようです。
J‐POPの範疇に納まらないアーティストなのは百も承知なのですが、この変幻自在とも言える浮遊感を漂わせる音楽ってなかなか新鮮でした。 想い出の散歩道」は、アグネス・チャンの曲ですか。そう言われればそうか、といった感じですが、コード進行がオシャレですし、軽やかさが伝わってきます。 リーフレットにある本人の解説の通り「フロッタージュ氏の怪物狩り」はシュールでした。クラシックの現代音楽と背中合わせのような雰囲気を醸し出しています。 島崎藤村作詞、大中寅二作曲の「椰子の実」もこのような雰囲気を付加され、彼女に再構築されると見事に変身します。唖然呆然。ピアノを自由自在にドライブする疾走感からくるある種の快感が伝わってきました。 ジャジーな香りが漂う大貫妙子「突然の贈りもの」も抒情的な音楽であることは間違いありません。 ピアニストとしての矢野顕子の才能とヴォーカリストとしての矢野顕子の才能が融合するとこれほどまでに斬新な音楽が生み出されるといった感じを受けました。すごいとしかいいようがありません。 他人の曲も全て矢野顕子の色に染まっています。どの曲からも万華鏡のように移り変わる演奏と歌を聴かせてもらいました。 |