身も蓋もない言い方をしてしまえば、ファンブック、なんですが。一言で言えば、喜多八師匠を好きな人たちが、喜多八師匠を好きな人たちのために作った、という本であるわけですが。 でも、この本は、そういう本でありながら、時としてそれを超えた境地を垣間見せてくれるのが、すごく良い、と思います。それは、様々な行間から流れ出る、喜多八師匠の噺家としての生き様だったり(本田久作さんの語る、50を過ぎても若手がやるような勉強会をずっと続けていた、「過剰な噺家」としての師匠の姿とか、長年の修行が形を結ぶようになった頃、60近くになって「俺、売れたいんだ」とプロデューサーの五十嵐さんに語った師匠の姿とか)。あるいは、その師匠をずっと見つめてきた人たちのそれぞれの思いであったり(とりわけ、本田さんがほろ酔い気分で書いたかのような喜多八独演会の楽しい解説とか)。いろいろな意味で「人間」を感じられる本だ、と私は思いました。 喜多八師匠が、一時「虚弱体質キャラ」で売ってきたのを、「病気のあと、あれをやらなくなったんですよ」、という趣旨のことを記す人たちが複数いて、みんなそのどこかうれしそうなこと。誰もはっきりとは言わないけれど、「そんなことをしなくても、あなたは正攻法の芸で認められるべき人なんです」、というみんなの心の声が聞こえる。それは、「喜多八、地味だけど、いいなあ」、と寄席で一度でも思ったことのある人なら、わかっていることなんですよね。そういう、有形無形のみんなの思いが形になった本として、暖かい気持ちになる本だと感じました。
フジテレビの情報番組「アゲるテレビ」でお天気キャスターとしても活躍されている春風亭昇吉さんの本です。
本の内容は落語家になる前から見習い期間を経て現在までの昇吉さんの生活が書かれています。
普通は落語会に行かなければ、落語家の生活や修行なんて耳にする機会もないと思います。
語り口もとても簡潔ですごく読みやすく、読後には昇吉さんがメインの落語会にぜひ行ってみたいと思いました。
落語なんて聞きに行ったこともないけどちょっと敷居が高いなんて人はこの本から是非入ってみて下さい、きっと親しみがわくと思います。
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