明治維新期、幕府の解体に反対し上野戦争を戦った彰義隊の若きメンバーたちの姿を、独特の視点で描いた長編漫画。
江戸から明治へ時代が大きく変ったときの、旧勢力幕軍と新勢力薩長の官軍のぶつかり合いをモチーフとしつつも、この作品で描かれているのは時代の奔流に飲まれながれも、それぞれに生き方を選択していく若者一人ひとりの生き様であり感情です。時代の大きな流れを読み違えてしまった、もしくは読み違えていると悟っていながらなお古く滅び行くものへの愛惜を捨てきれない、そんな悲劇が、この作品には込められています。
判官贔屓と言いますが、負けた側に肩入れしてしまう日本的感覚は今も昔も変らないようです。そんな意識が、去り行く江戸の風俗と、それに身も心も捧げてしまった若者たちの合葬という
タイトルにつながったのでしょう。
江戸末期、無血開城により江戸に入った官軍とそれでも幕府を守ろうとする彰義隊。この衝突である上野戦争を背景にした作品。しかし、彰義隊や上野戦争は設定の一部であり、物語の主役は市井の人々。幕末グラィティーと言い切ってしまうほど軽くは無いが。重くも感じさせないのは作者の
タッチのなせる業か。
ただ、登場人物の描きわけがわかりづらく、何回か読み返さないと誰が誰だかわからなくなってしまうことがある。